JSR株式会社がカーボンとの業務提携を解消へ

日本の大手化学メーカーのJSR株式会社が、アメリカの3Dプリンターメーカーのカーボンとの業務提携を解消する。業務提携解消の理由は明らかにされていないが、日本国内のアディティブ・マニュファクチャリング関連ビジネスの低迷が背景にあるものと見られる。

JSRは、2016年に8100万ドル(約105億円)規模のファンディングラウンドに参加し、カーボンに出資していた。ファンディングラウンドにはJSRのほかに、ニコン、GE、BMWなどが参加していた。カーボンは、IPOを見込む大型ユニコーン企業として多くの投資家の注目を集めていた。

カーボンのライバル企業のデスクトップメタルが2020年12月にSPAC(特別買収目的会社)のトライン・アクイジションとの合併によりニューヨーク証券取引所に上場を果たした一方、カーボンは未だにIPOを果たしていない。

JSRは、1957年に合成ゴムの国産化を目指して設立された国策企業で、日本合成ゴム株式会社を前身としている。液晶ディスプレイ用材料で世界トップクラスのシェアを持つほか、半導体用フォトレジストで世界トップシェアを有している。また、優れた光学特性を有する樹脂を開発し、光ファイバー用コーティング材や光学接着剤、透明樹脂などでも高いシェアを持っている。