ザハ・ハディドの3Dプリンター製ボート用水素補給ステーションがイタリアで始動

ザハ・ハディドの3Dプリンター製ボート用水素補給ステーションがイタリアで始動

イタリアで世界初のレクリエーション向け水素補給ステーションが誕生する。NatPower Hが主導するこのプロジェクトは、2030年までにイタリア全土に100カ所のステーションを配備することを目指しており、ザハ・ハディド・アーキテクツがインフラ整備を主導する。

3Dロボットによる材料配置を採用したこのステーションは、完全にリサイクル可能な乾式工法の石積みを利用し、建設廃棄物の削減と材料使用の最適化を実現している。3Dプリントされたブロックの層状配置は、地中海の景観や海洋生態系に見られる自然の地層を模倣しており、構造的完全性と美的魅力を高めている。

アンドレア・ミネルド最高経営責任者(CEO)は、水素で動き、イタリアの造船業界が直接的にCO2を排出しないヨットやボートへの移行を推進する上で、極めて重要な役割を担っていることを強調した。イタリアのマリーナや港湾とすでに25の協定を結んでいるこの取り組みは、持続可能なエネルギー源への世界的なシフトを促進し、水素補給ステーションの広範なネットワークを約束するものだ。

風力、太陽光、その他の自然エネルギーを利用するNatPower Hのグリーン水素製造技術は、急増中の環境に優しい電力への需要を満たす、拡張可能なソリューションを提供する。地中海全域で計画されているステーションは、年間3,650トンのグリーン水素を供給し、レジャーボートからの温室効果ガス排出を大幅に抑制する予定だ。

このプロジェクトの基盤は、安全性、拡張性、持続可能性という3つの基本理念に基づいている。認定を受けた低圧金属水素化物の技術を採用することで、コンパクト性、安全性、規制遵守を確保し、循環性と海洋生態系の保全にも目を光らせている。

ザハ・ハディド・アーキテクツのディレクターを務めるフィリッポ・イノチェンティ氏は、「ZHAの水素ステーションは、低エネルギー消費の無筋デジタルコンクリートで建設されます。現代技術づくめの材料ではなく、幾何学的な構造強度によって、私たちは、古代より確立されている建築技術と、持続可能で循環可能な先進技術とのつながりを見出したのです。」と述べている。

イタリアがレクリエーション用ボートにグリーン水素を採用する動きでリードしているように、この先駆的なイニシアチブは、より持続可能な海洋の未来に向けた重要な一歩となる。綿密な計画と協力により、この取り組みは海洋輸送にクリーンな代替エネルギーを採用する世界的な先例となるだろう。