アメリカで空気から飲料水を生成する3Dプリント製大気圧水生成装置が完成

2014年、ルーベン・ヴォルマーが3Dプリンター製の部品を使って空気から水を作ろうとした最初の試みは、あまり成功しなかった。この初期の実験のきっかけは彼の両親の農場に影響を与えた干ばつで、実験機はらせん、アルミホイル、太陽電池ファンをその場しのぎで組み立てたものだった。そんなヴォルマーだが、この度ビジネス・パートナーのタイラー・ブルトンと共に、大気圧水生成装置「スパウト」を開発した。キッチンテーブルに置けるほどコンパクトなこの装置は、予約販売の段階で100万ドルを集め、ビジネスとしても大きな成功を収めた。

スパウトは、空気から水分を抽出し、抽出された水を2回フィルターにかけ、紫外線で保護されたピッチャーに保存することで、毎日およそ11.3リットルの純粋な飲料水を生成する。この技術革新は、数百ワットの電力しか使用せず、清潔な水へのアクセスに革命を起こすような、水生成技術への斬新なアプローチを示している。水道管を電線に、水筒を電池に例えたボルマーの表現は、水利用の容易さが太陽エネルギーと同じ程度になるような将来のビジョンを示している。

スパウトの環境面での利点は、主要な温室効果ガスである水蒸気を大気中から減少させることで地球温暖化を緩和する可能性がある点だ。この装置は、消費する水と同じだけの水を生産する「ウォーター・ニュートラル」な家庭や農場につながる可能性がある。さらに、干ばつに見舞われた地域にきれいな水を供給するための解決策にもなる。

カリフォルニア州ベニスで行われたブリタのような一般的な浄水器との比較テストでは、水の純度においてスパウトの優位性が示された。スパウトは、シンプル・ラボのヘルシー・ウォーター・スケールで99点満点中98点を獲得し、ブリタのフィルターを大きく上回った。かつてはサイエンス・フィクションのように思われたこの技術は、来年には市販される予定であり、水の生成と浄化技術における重要な一歩となる。