NASA(米航空宇宙局)が火星用3Dプリント住宅の実験棟を公開した。テキサス州ヒューストンのジョンソン宇宙センターに建設された3Dプリント住宅「マーズ・デューン・アルファ」は四人用で、テキサス州に拠点を置く3Dプリント住宅メーカーのICONの建設3Dプリンターで建設された。広さは約160平方メートルで、ベッドルーム、バスルーム、キッチンなどの居住施設や、ランニングマシンやゲーム機器なども設置されている。
予定では、今年2023年6月から四人のボランティアが12カ月間火星での生活を想定したシミュレーションを開始する。ボランティアは「マーズ・デューン・アルファ」内で、宇宙遊泳などのシミュレーションや、農作物の栽培、健康維持、運動などの各種の活動を行う。
ボランティアの健康管理の責任者グレース・ダグラス博士は、「火星に行くには地球の軌道を離脱して月へ向かい、そこから火星へ到達します。当然ながら持って行ける資源には限界があります。火星での生活は、様々な制限の元で行われることになります」と説明している。
ダグラス博士は、四人のボランティアは健康上や心理的な問題が生じた際は、いつでもシミュレーションを中止できるとしている。また、ボランティア離脱に備えて、二人のバックアップスタッフがスタンバイするとしている。
NASAは、2030年代に人類を火星へ送る予定。