ガン死亡の90%以上は、循環腫瘍細胞(CTC)による腫瘍の転移・再発が原因とされています。CTCの動態を長期的にモニタリングし、それに応じて治療レジメンを調整することで、過剰治療を防止し、腫瘍の転移や再発を抑えることができます。音響流体方式は、CTCの自然な増殖や特性を可能な限り維持できること、装置や操作がシンプルであることなど、他のCTC検出方法と比較して多くの利点があります。 しかし、この技術は実際の臨床サンプルの検出には使われておらず、この技術に基づくCTCデータは予後や転移の予測にうまく利用されていないのが現状です。
最近、科学者たちは、BMF社製マイクロスケール精密3Dプリンターを利用して、使いやすく、低コストで高いCTC分離効率を備えた音響波マイクロ流体チップを作製しました。CTCと腫瘍転移の関連性を、腫瘍の臨床手順を完全にシミュレーションして系統的に調べたのは、今回が初めてとなります。
その結果、この新しいマイクロ流体には以下のような特徴があることがわかりました。
- CTCの捕捉効率(capture efficiency)が96%以上であること。
- このマイクロ流体制御で得られたデータを用いて、マウスの腫瘍の予後評価や実際の腫瘍の転移の長期観察を行い、予測された結果が実際の状況と一致することを確認しました。
研究者によると、音波によるマイクロ流体制御は、CTCを捕捉する効率が高く、腫瘍の広がりの進行度を正確に予測することができるという。 これにより、腫瘍切除を受けた患者さんの長期的な血液モニタリングのための新しい実用的なソリューションを臨床医に提供し、可能な限り副作用の少ない、タイムリーで正確な治療法の選択肢を提供します。
この音響マイクロ流体制御の製造工程は、以下の通りです。
- BMF社製精密3Dプリンター microArch® S140(光学解像度:10μm)を用いて、チップの型を製作し、後で脱型しやすいように型の表面を修正しました。
- PMDSキャスティングにより、微細穴が配列されたチップを得た。
- PMDSチップを圧電振動子とともにガラス板上に組み立てることで、音響マイクロ流路を実現。
この研究成果は「Postoperative evaluation of tumours based on label-free acoustic separation of circulating tumour cells by microstreaming」というタイトルで権威ある学術誌Lab on a Chipに掲載されました。
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