ドイツのフライブルク大学の研究チームが、エコフレンドリー・ウッドベース3Dプリンティング素材を開発した。開発したのはフライブルク大学森林バイオマテリアル学部のマリー・ピエール・ラボリー教授率いる研究チームで、樹木から抽出されるリグリンとセルソースを配合し、自然整合性的なポリマーを構成した。リグリンは樹木からほぼ無限に抽出できるため、極めてサステナブルな素材を開発することに成功したとしている。研究チームは、開発した素材を建設業や製造業に普及させることを目指すとしている。
リグニン(Lignin)は、セルロース、ヘミセルロースと共に植物の体細胞壁を構成する主要成分。リグニンの含有率は、針葉樹で25-35%、広葉樹で20-25%に達する。植物の細胞間の接着や細胞壁の強化に役立つとされ、木材パルプの製造廃液中に大量に存在するとされる。化学的に安定していて、微生物によって分解されにくい物質とされる。
エコフレンドリーな3Dプリンティング素材を開発する機運は世界的に高まってきている。リトアニアのヴィリニュス大学の研究チームも、リサイクル可能なオプティカル3Dプリンティング用バイオマテリアル素材を開発している。
フライブルク大学は、正式にはアルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクと呼ばれ、1457年設立のドイツで五番目に古い大学。ドイツで最も権威ある大学の一つとされ、ヨーロッパ全体においても名門大学の一つとされる。19名のノーベル賞受賞者を輩出し、哲学者エトムント・フッサールやマルティン・ハイデッガーの母校としても知られている。