(前回からの続き)
つまり、保守系アメリカ人が多いとされる畜産農家や、畜産関連産業の事業を守ろうという基本的なスタンスが、代替肉に反対する理由として根底に存在していることが見てとれる。なお、デサンティス知事は、培養肉などの代替肉に反対の立場であるのみならず、昆虫食などにも否定的であることでも知られている。デサンティス知事は、最近開催された世界経済フォーラムの年次総会で採択された、昆虫食を「肉食に代わる摂取可能なタンパク源」であるとする声明に否定的な見方を示し、参加した世界中のリーダー達を失望させた経験を持っている。
一方、同じフロリダ州において同志全員が一枚岩というわけではない。フロリダ州議会員のクリスティーン・ハンショフスキー議員(共和党)は、フロリダ州内での代替肉の販売と流通を禁止する法案に反対票を投じている。その理由として「(代替肉の販売と流通を禁止する法律の施行は)代替肉を研究開発している世界中の研究者や食品メーカーに誤ったメッセージを伝える可能性があります。つまり、フロリダ州で仕事をしていると、ある日突然違法だと言うことで仕事や作業が中止させられたり、逮捕されるリスクがあるというメッセージです」と説明している。
いずれにせよ、フロリダ州においては3Dプリント肉や3Dバイオプリント肉などを含む代替肉の販売と流通は今後一切できない。フロリダ州の判断がどういう結果をもたらすのか、全米の各州が固唾を飲んで見守っている。