2017年の3Dプリンターの世界を占う②

3.メタル系ハイエンド3Dプリンターの普及

現在航空宇宙や自動車分野を中心にメタル系ハイエンド3Dプリンターの普及が進んでいるが、2017年はメタル系ハイエンド3Dプリンターの普及が本格化する年となるだろう。

昨年はGEによるアーカム、SLMソルーションズのM&Aが話題となったが、メタル系ハイエンド3Dプリンターを希少部品の製造に活用する機運が本格化する。航空機用エンジン、ロケットエンジン、航空機用各種部品などの製造にメタル系3Dプリンターが使われ始めている。航空宇宙分野以外にも自動車製造の現場で、特にローカルモーターズのマイクロファクトリーのような次世代のモノづくり現場でメタル系ハイエンド3Dプリンターの導入が進んでいる。

メタル系ハイエンド3Dプリンターの普及とはデジタルマニュファクチャリング時代の到来と同義であり、さらにモノづくりにおけるパラダイムシフトを意味する。その意味において、デジタルマニュファクチャリングの及ぶ領域におけるパラダイムシフトの成功が、次世代製造業のリーダーを生み出す必要条件となるだろう。

4.モノづくりプラットフォームの登場

モノづくりの現場に3Dプリンターを含めた統合型プラットフォームが続々と生まれてくるだろう。部品などのプロトタイプを単に製造したり、あるいは実際に製品として3Dプリンターで製造するにとどまらず、デザインから最終的なモノづくりまでをワンセットで完結させるプラットフォームのコンセプトが実際の現場に広がり始めている。

プラットフォームのデザインと運用には、高度なマニュファクチャリングエンジニアリング技術、リソースマネジメントを含むERPの技術、さらにはAI技術が要求され、実現には高いハードルが存在するが、実現に向けた挑戦は世界の各地で始まりつつある。

モノづくりプラットフォーム実現に向けて、3Dプリンターを含むアディティブ・マニュファクチャリング技術がさらに進化し、その重要性を増してくることは間違いないだろう。